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    2026年1月23日 16時11分

    「トランプ劇場」の政策は、株高材料も株安材料も盛りだくさん【フィリップ証券】

     中間選挙に向けて、なりふり構わぬ「トランプ劇場」が動き出したようだ。正月早々のベネズエラへの軍事攻撃は成功裡に終わった。さらに、ベネズエラの油田権益確保、および2027年財政年度の国防予算を前年度比5割増しとするよう連邦議会に要求することなどは、米国企業にとってプラスとなる話だろう。

     ベネズエラ軍事攻撃後も、デンマーク自治領グリーンランドの領有を目指す構えを示し、反発する欧州8カ国からの輸入品に10%の関税を2/1から課すと発表。6/1からは税率を25%に引き上げるとしている。昨年に幾度も見られた「TACO」(トランプはいつも尻込みする)に終わるだろうと楽観視する向きがあるものの、実施された場合には株式市場がショック安となる懸念が残る。その他にも、相次いで発表された有権者向けの政策が株価への逆風となる場面が増えてきている。

     トランプ氏は1/9、高金利に苦しむ中間層・低所得者の救済を目的として、クレジットカード金利を1年間限定で10%の上限に抑え込む大統領令を1/20付けで発効するとした。クレジットカード事業は商業銀行にとって重要な収益源であり、カード上限金利要求が実施されれば金融株にとって打撃となるだろう。一方で、2025年初~2028年末生まれの米国人の新生児が米政府から1000ドルを受け取る「トランプ口座」の開設が7/4の独立記念日より開始される。米政府によれば、口座は「財務省の指定委託金融機関」で管理される。指定委託金融機関に選ばれることで業績を拡大する金融業者が現れる可能性がある。

     さらに、トランプ氏は住宅価格の高騰が問題視される中、1/7に大手機関投資家による戸建て住宅の購入を禁止する措置を講じると発表したほか、政府支援機関のファニーメイ(連邦住宅抵当金庫)とフレディマック(連邦住宅貸付抵当公社)に2000億ドル相当の住宅ローン債券を買い入れるよう指示。「住宅の手頃さ」を重視する政策は、住宅メーカーの利益率を圧迫することにつながる。

     また、トランプ政権は1/16、データセンターの運用者に電力インフラの設備費用を求めると発表。テック企業がAI(人工知能)向けのデータセンターを増やす中、巨大テック企業にとって実質的にコスト増加となる政策である。電気料金上昇に伴って家庭の生活費上昇を抑えることが求められる中で必要な政策ではあるものの、AIインフラ投資拡大にブレーキをかける可能性がある。マイクロソフト<MSFT>は1/13、データセンター建設に伴う電気料金の上昇分を自社で負担すると発表している。昨年末にデータセンターへの過剰投資が懸念されてAI半導体・インフラ関連銘柄の株価が下落する局面があったことは記憶に新しい。2025年10-12月決算発表後のAI相場の行方には要注意だろう。


    ■米国株の「1月効果」と月ごと推移~過去51年間の平均で3番目の上昇率

     米国株市場では、年末の節税売り後の買い戻しや新年の資金流入を背景に、1月の株価リターンが他の月より高くなりやすい「1月効果」のアノマリー(経験則)が指摘される。特に中小型株でその傾向がみられるとされている。1975年~2025年まで51年間のS&P500株価指数の月間騰落率を見ると、月別平均値は1月が1.27%と、11月、4月に次いで3番目に高く、1月効果の存在が裏付けられている。ただ、データの対象期間を1998年以降に変えると、1月の平均値が0.11%に低下し9番目に下がってしまうことから、アノマリーの効力が低下している可能性がある。

     過去51年間の月別平均値で2月は0.09%と、9月の次にパフォーマンスが低い。1998年からの過去28年間でもマイナス0.325%となっている。


    【タイトル】


    参考銘柄


    ASEテクノロジー・ホールディング<ASX> 市場:NYSE・・・2026/2/5に2025/12期4Q(10-12月)の決算発表を予定

    ・1984年設立の台湾企業。半導体後工程の受託製造企業(OSAT)で世界首位。通信、コンピューティング、自動車・消費者向けパッケージング、検査、EMS(電子機器受託製造)のサービスを提供。

    ・10/30発表の2025/12期3Q(7-9月)は、新台湾ドル(NTD)ベースで、売上高が前年同期比5.3%増の1685億NTD(会社予想1590-1620億NTD)、粗利益率が同0.6ポイント上昇の17.1%(会社予想15.8-16.0%)、EPSが同10.6%増の2.41NTD。主力の半導体後工程・材料関連(ATM)が17%増収。

    ・2025/12期4Q(10-12期)会社計画は、3Q売上比率59%の半導体後工程・材料関連(ATM)が前四半期比3-5%の増収、粗利益率が同1.0-1.5ポイント上昇の23.6-24.1%と堅調な推移を見込む。米商務省は1/15、米国と台湾の貿易交渉が合意に達したと発表。台湾企業が2500億USDの対米投資を約束し、米国は台湾にかける20%の相互関税を既存税率と合計で15%まで下げることとした。


    ブラックロック<BLK> 市場:NYSE・・・2026/4/10に2026/12期1Q(1-3月)の決算発表を予定

    ・1995年に投資ファンドのブラックストーンの債券部門が分離独立。資産運用やアドバイザリー業務を提供する企業では世界最大。世界最大のシェアを持つETF「iShares」シリーズを主力商品とする。

    ・1/15発表の2025/12期4Q(10-12月)は、総収益が前年同期比23.7%増の70.08億USD、非GAAPの調整後EPSが同10.3%増の13.06USD。12月末管理資産額が22%増の14.04兆USDと過去最高を更新したほか、純資金流入額が21%増の3417億USDへ拡大。調整後営業利益率は0.5ポイント悪化。

    ・資産運用業界は同社とバンガード、ステート・ストリート<STT>3社の寡占状態であり、高水準の利益率を維持しやすいと見込まれる。米政府は12/17、新生児向けの投資口座「トランプ口座」の詳細を発表。米政府が口座に1000USDを拠出し、保護者や企業の上乗せ拠出も認めて米株指数連動ファンドなどで運用する。報道によれば、同社は口座管理の受託の意向を財務省に持ちかけている。


    デクスコム<DXCM> 市場:NASDAQ・・・2026/2/12に2025/12期4Q)10-12月)の決算発表を予定

    ・1999年設立の医療機器メーカー。糖尿病患者向け血糖値管理システム設計・開発に注力。皮下組織で血糖値を常時測定する埋め込み小型機器や血糖値読み取り小型体外受信機を開発。

    ・10/30発表の2025/12期3Q(7-9月)は、売上高が前年同期比21.6%増の12.09億USD、非GAAPの調整後EPSが同35.6%増の0.61USD。米国市場でプライマリーケア(かかりつけ医)への浸透深化や商業保険の広範な償還対応を受けて、2型糖尿病患者への採用が急速に拡大したことが寄与した。

    ・通期会社計画は、売上高を前期比約15%増の46.30-46.50億USD(従来計画46.00-46.25億USD)へ上方修正の一方、調整後営業利益率を20-21%(同21%)へ下方修正。同社セイヤーCEOは1/12、米大手銀主催のヘルスケア会議上で4Q(10-12月)の暫定決算を発表。売上高を前年同期比13%増の12.6億USD、うち米国売上高を同11%増の8.92億USDと、市場予想を上回る堅調な内容。


    イートン<ETN> 市場:NYSE・・・2026/1/30に2025/12期4Q(10-12月)の決算発表を予定

    ・1911年設立のアイルランド大手産業機器メーカー。電気関連(ブレーカー他)、油圧関連(ポンプ他)の製品を扱い、航空宇宙(油圧モーター他)、商業車両(トランスミッション他)向けに展開する。

    ・11/4発表の2025/12期3Q(7-9月)は、売上高が前年同期比10.1%増の69.88億USD、既存事業増収率が13%(会社予想8-9%)、非GAAPの調整後EPSが同8.1%増の3.07USD(同3.01-3.07USD)。電気関連事業(売上比率73%)は送電網新設・改良支援の追い風を受けて営業利益が15%増。

    ・通期会社計画は、既存事業売上高が前期比8.5-9.5%増、調整後EPSが同8-13%増の11.97-12.17USDと従来計画を据え置いた。トランプ米政権は1/16、電気料金の上昇に伴う家庭生活費の上昇を抑えるため、データセンター運用者に電力インフラの設備費用を求めると発表。緊急電力入札が実施されれば発電所建設および一層多くの送電線の敷設が必要になると見込まれる。


    ハイコ<HEI> 市場:NYSE・・・2026/2/26に2025/12期4Q(10-12月)の決算発表を予定

    ・1957年設立の航空機部品、電子機器メーカー。エンジンからブレーキに至るまで航空機全体に及ぶFAA(連邦航空局)認定部品のほか、通信のニッチ分野に向けた電気光学装置なども取り扱う。

    ・12/18発表の2025/10期4Q(8-10月)は、売上高が前年同期比19.3%増の12.09億USD、EPSが同34.3%増の1.33USD。粗利益率が同1.3ポイント上昇の40.2%。セグメント別営業利益は、航空機部品部門(売上比率68%)が30%増の2.00億USD、電子技術部門(同32%)が10%増の0.89億USD。

    ・2026/10期会社計画は未公表。同社は、既存事業からの内部成長に加え、積極的かつ継続的な買収による外部成長の相乗効果により利益率を改善させつつ、キャッシュフローを成長させている。2025/10通期の営業キャッシュフローは前期比39%増の9.34億USD。4Qの営業利益率は、航空機部品部門が前年同期比1.6ポイント上昇の24.1%、電子技術部門が0.2ポイント上昇の23.0%。


    トランスダイム・グループ<TDG>  市場:NYSE・・・2026/2/4に2026/9期1Q(10-12月)の決算発表を予定

    ・1993年設立の航空部品メーカー。商用・軍用航空機向けの航空機部品を設計・製造・販売。世界大手の航空機メーカー2社や米軍が主要顧客。同社部品は商用航空機のほとんどに採用される。

    ・11/12発表の2025/9期4Q(7-9月)は、売上高が前年同期比11.5%増の24.37億USD、非GAAPの調整後EPSが同10.1%増の10.82USD。米国内および国際航空便数の大幅回復に伴う航空機製造の生産率向上に加え、防衛関連売上が拡大。供給網問題を吸収して粗利益率も2.8ポイント上昇。

    ・2026/9通期会社計画は、売上高が前期比10-13%増の97.50-99.50億USD、調整後EPSが同2%減-3%増の36.49-38.53USD。同社は利益の大半を自社製品アフターマーケット販売から稼ぎ、高水準で安定した利益率とフリーキャッシュフローを確保。防衛関連(2025/9通期売上比率43%)では、トランプ米大統領が2027年財政年度の国防予算を前年度比5割増とするよう連邦議会に要求した。


    執筆日:2026年1月19日


    フィリップ証券
    フィリップ証券 リサーチ部 笹木和弘
    (公益社団法人 日本証券アナリスト協会検定会員、国際公認投資アナリスト)

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