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    2025年12月2日 17時20分

    マーケット&北陸経済動向(12/2)【今村証券アナリストレポート】

    (1)マーケット動向

     人工知能(AI)関連株が牽引役となった世界株高が一服した。10月まではAI向け投資の活発化を好感して半導体関連銘柄が買われたが、11月に入るとAI向け投資は過剰との見方が優勢になった。特に米エヌビディア<NVDA>は競争激化懸念も重なり、10月29日に付けた最高値から一時2割下げ、日本株でもソフトバンクグループ <9984> [東証P]が最高値から一時45%安、アドバンテスト <6857> [東証P]も一時22%下落した。高市首相の国会答弁に端を発した日中対立がインバウンド(訪日客)消費や中国向け輸出の落ち込みにつながるとの警戒感も日本株の重荷になり、日経平均株価は10月末の5万2000円台から4万8000円台まで下落する場面があった。

    日経平均株価構成比上位4 銘柄の株価推移
    【タイトル】

    (注)昨年末= 100 として算出
    出所:ブルームバーグ


     一方で東証株価指数(TOPIX)は最高値を更新した。株価に出遅れ感があり、かつ好業績を発表した銘柄が物色され、リクルートホールディングス <6098> [東証P]やSOMPOホールディングス <8630> [東証P]は2026年3月期通期業績予想を上方修正した翌日に1割以上上昇した。日本経済新聞社の集計によると、国内上場企業の4~9月期純利益は前年同期比7%増えた。製造業は米関税や円高が響いて減益だったものの、非製造業がカバーした。なかでもAI需要が追い風になった通信、金利上昇が寄与した銀行の増益額が大きかった。また2026年3月期通期の純利益予想は全体で前期比2%減となり、従来予想(8%減)から上振れた。日中対立がリスク要因とはいえ、国内企業は保守的に業績予想を見積もる傾向があることや現在の為替相場を踏まえれば、6年連続での増益、5年連続での最高益更新が視野に入ってきた。

    株価指数の騰落率(11 月28 日時点)
    【タイトル】
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    出所:ブルームバーグデータより今村証券作成


     日本では債券安、通貨安も進んだ。2年物や10年物の国債利回りは約17年半ぶりの高水準、30年物や40年物の利回りは過去最高の水準となり、円相場は1ドル=158円に迫って約10カ月ぶりの安値を付け、対ユーロでは182円ちょうどと1999年の単一通貨ユーロの誕生以降の最安値を更新した。高市内閣がまとめた総合経済対策の規模が21兆円超まで膨らみ、財政悪化懸念が広がった。12月には来年度予算案の策定も予定されており、策定過程で再び財政悪化が意識される可能性がある。

    【タイトル】

    1段:株価指数(黒:日経平均株価、赤:米ダウ工業株30種平均)、2段:円相場(赤:対米ドル、青:対ユーロ)、3段:10年国債利回り(黒:日本、赤:米国、青:ドイツ)
    出所:ブルームバーグ


     また、12月は日米の金融政策イベントが金融市場を大きく動かしそうだ。米連邦公開市場委員会(FOMC)は9~10日、日銀金融政策決定会合は18~19日に開かれる。米連邦準備理事会(FRB)のパウエル議長は前回10月のFOMC後に、12月の利下げについて「既定路線というにはほど遠い」と利下げ期待をけん制した。その後も地区連銀総裁が相次いで利下げに慎重な発言をした。ただ史上最長の43日間に及んだ米連邦政府機関の閉鎖が終わり公表が再開された米国の雇用や消費に関する経済指標は強弱入り混じる内容となっており、追加利下げを織り込む動きが再燃している。

    12月開催FOMC後の米政策金利予想確率の推移
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    出所:CMEのFedWatchツールより今村証券作成


     日銀の利上げ確率も高まってきた。東短リサーチ・東短ICAPが提供する12月に利上げする確率は11月中旬に一時20%台まで低下した後、11月28日時点では57%だ。11月後半に植田総裁が円安進行による物価上昇リスクが利上げ判断につながるとの考えを示し、複数の審議委員も利上げに前向きな発言を行った。

     当面は金融政策を睨んだ神経質な展開が予想される。金融政策イベントを通過した後は年末にかけて上昇相場になる、いわゆる「掉尾の一振」に期待したい。



    (2)北陸経済動向

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     北陸経済は緩やかに回復しているものの、一部に弱めの動きもみられる。雇用や所得環境が緩やかに改善する中で個人消費は堅調さを維持している。9月の商業動態統計小売6業態販売額(注)(全店ベース)が前年同月比3.9%増と43カ月連続で前年を上回った。

    (注)小売6業態:百貨店、スーパー、家電大型専門店、ドラッグストア、ホームセンター、コンビニエンスストア


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     設備投資の増加も経済の支えだ。資材高などの影響はみられるが、工場や物流施設の新設が続いている。日銀金沢支店は北陸地域の設備投資について「増加している」と3年4カ月ぶりに判断を引き上げた。

     一方で、弱含む生産と住宅投資の減少が先行き不透明感を強めている。9月の鉱工業生産指数(11月21日発表。速報値、季節調整済)は前月比で6.7%増と2カ月ぶりに上昇し、前年同月比でも6.3%増と8カ月ぶりに前年を上回ったものの、米国関税の影響など先行き不透明がある。鉱工業生産指数と同日に発表された「北陸地域の総合経済動向(経済産業省中部経済産業局発表)」では生産についての判断が「弱い動きとなっている」に据え置かれた。

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     先行きについては各種政策の効果により緩やかな景気回復が続くことが期待される。ただ、米関税政策や海外景気の動向、国内物価の動向などには注意が必要だ。

    (参照:日銀金沢支店発表資料「北陸の金融経済月報」、「北陸短観」、国土交通省発表資料、経済産業省及び経済産業省中部経済産業局発表資料、財務省北陸財務局発表資料、内閣府発表資料より今村証券作成)



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