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    2025年4月2日 14時15分

    権利付き最終日前の配当目的買いに関する考察、銀行・不動産を巡る新潮流【フィリップ証券】

     日本時間3/27の早朝、米トランプ大統領より米国へ輸入される自動車(完成車)および基幹部品について25%の関税導入が発表された。3/27は3月配当銘柄の権利付き最終日でもあり、配当権利取り目的の買いに支えられて東証株価指数(TOPIX)の終値が前日比プラスだったものの、配当権利落ちの翌3/28は、TOPIX、日経平均株価ともに配当落ち分を大きく上回る下落幅となった。

     株主還元強化の時代の要請を背景に上場企業による増配ペースが加速するなか、3月・9月の配当権利付き最終日と権利落ち日を巡って短期的な価格変動性が大きくなる傾向がみられる。指数連動型ETFは、配当落ちに相当する金額を未収金として計上し、指数との連動性を保つため同額の先物を買い建てる。ETFは、株主総会後の配当金受取を経て7月の決算日前に、買い建てていた先物に加え、一部の株式を売却することで決算日に分配金原資を確保する必要がある。ETFの先物買い規模は1兆円超とされ、先回りの現物買いや先物と現物間の裁定取引(アービトラージ)などを通じて日本株市場の攪乱要因となっている。

     銘柄によっては、3月は中旬・下旬に向けて、配当権利付き最終日を意識した高配当利回りへの買いが流入しやすい季節性がある。たとえば、予想配当利回り5%を超えるJFEホールディングス<5411>は、2月末終値に対して3/14終値が4.2%上昇、3/27終値が5.0%上昇している。それぞれ、値上がり益は半期分の配当金を超える金額となっている。「値上がりしなければ配当権利取り」という選択肢を残しつつ、権利付き最終日前に配当以上の値上がり益を目的として、少し早めの買いを検討する余地もあるだろう。

     日本国債10年物利回りが3/27に1.59%まで上昇するなか、金利上昇が逆風となりやすいはずのJ-REIT(上場不動産投資信託)は、昨年末からの3/27終値までの上昇率が4.7%と堅調だ。また、銀行株の中でも地方銀行は、地方の人口減少に拍車がかかる中で生き残りをかけて経営統合への協議や広域連合などの動きを活発化させている。銀行業界にとって、事業全体を対象とする担保制度である「企業価値担保権」が2026年春に創設されることは転機となるだろう。資産の乏しいスタートアップや、経営者保証による事業承継を躊躇している事業者に道を開くものだ。

     不動産業界では、アクティビスト(物言う株主)として知られるエリオット・インベストメント・マネジメントが住友不動産<8830>の株式を取得したことも、日本株市場にとって大きな意味を持ちそうだ。同社は不動産会社の中でも政策株式の保有比率が高く、首都圏を中心に保有する不動産も時価が簿価の約1.9倍に上る。この不動産時価の対簿価比率は三菱地所<8802>と同水準だ。


    ■銅先物価格と25%追加関税~LMEとCMXの価格乖離率が25%に近付く

     米国政府は3/12から米国が輸入する鉄鋼・アルミ製品に25%の追加関税を課した。2/25には銅への追加関税を検討する大統領令に署名し、実態調査を商務省に指示している。そのような中、同じ銅の国際価格でも、関税リスクを織り込んで米国市場(CMX)での先物価格が英ロンドン市場(LME)に対してプレミアム(割増金)が付くようになった。鉄鋼・アルミ製品と同様に25%だとすれば、3/26終値で16%台に達したプレミアム分の乖離率がさらに拡大する可能性もある。関税を見据えて米国に銅現物が集まる中、米プレミアム上昇に引っ張られて中国でも輸入銅のプレミアムが足元で急伸中だ。米アリゾナ州のモレンシー銅鉱山の権益を持つ住友金属鉱山<5713>は米プレミアム上昇の恩恵を受けやすいだろう。

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    ■中国の「氷雪経済」が急拡大~日本のスポーツブランドに「K点超えジャンプ」の可能性も?

     全国人民代表大会(全人代)を受けて、中国共産党および国務院は3/16、「消費振興特別行動計画」を発表。その中で冬季観光やウインタースポーツなど「氷雪消費」の促進が打ち出された。中国では2022年北京冬季オリンピックを機に「ウインタースポーツ人口を3億人に増やす」という目標が掲げられ、2023年には、目標を大幅に超え4億人に達した。

     中国ウインタースポーツ市場の成長を取り込むべく、日本のヨネックス<7906>は、2024年9月に上海で開業した世界最大の屋内スキー場でスノーボードショップをオープン。ゴールドウイン<8111>は直営店舗を通じて自社ブランドの普及に努めている。屋内スキー場は通年営業が可能で、関連事業の収益効率が高さいため、業績への貢献が期待される。

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    参考銘柄


    住友金属鉱山<5713>

    ・1590年に住友財閥業祖である蘇我理右衛門が創業した非鉄金属企業。資源開発などの「資源」、金属精錬・加工の「製錬」、電池材料や機能性材料などを含む「材料」の3事業セグメントを営む。

    ・2/12発表の2025/3期9M(4‐12月)は、売上高が前年同期比9.9%増の1兆1928億円、税引前利益が同44.9%減の481億円。銅と金の平均価格が前年同期比で上昇したこと他により増収。新規開発鉱山立ち上げ堅調も、フィリピンのニッケル精錬子会社の減損損失計上が利益を押し下げた。

    ・通期会社計画は、売上高が前期比8.8%増の1兆5730億円(従来計画1兆5550億円)へ上方修正の一方、減損損失計上を受けて税引前利益を同39.5%減の580億円(同960億円)へ下方修正。年間配当は株主資本利益率(DOE)1.5%下限配当方針に基づき6円増配の104円(同99円)へ上方修正。同社は米国アリゾナ州モレンシー銅鉱山の権益を保有。トランプ関税が追い風となる面もある。


    安川電機<6506>

    ・1915年に安川清三郎と第五郎の兄弟が共同創業。モーションコントロール、ロボット、システムエンジニアリングが主な事業。サーボモーター、インバーターが世界首位。産業用ロボットも首位級。

    ・1/10発表の2025/2期9M(3-11月)は、売上収益が前年同期比7.2%減の3936億円、営業利益が同26.3%減の343億円。売上比率45%のモーションコントロールは13%減収、営業利益が44%減の159億円。同43%のロボットは自動車向け増加を受けて2%増収も、営業利益が13%減の161億円。

    ・通期会社計画は、売上収益が前期比4.8%減の5480億円(従来計画5530億円)、営業利益が同12.4%減の580億円(同640億円)、年間配当は同4円増配の68円で従来計画を据え置いた。同社はAI(人工知能)とロボットを融合させた「AIロボティクス」で米エヌビディア<NVDA>と協業。NVDAのGPUを標準搭載し、AIを活用した産業用ロボット「MOTOMAN NEXT」を競合他社に先駆けて市場投入。


    ゴールドウイン<8111>

    ・1951年に富山県西砺波郡津沢町で津沢メリヤス製造所を設立。スポーツ用品関連として、アウトドア関連ブランド、アスレチック関連ブランド、ウインター関連ブランドのそれぞれの商品を主に扱う。

    ・2/6発表の2025/3期9M(4-12月)は、売上高が前年同期比2.1%増の968億円、営業利益が同11.7%減の169億円。インバウンド需要が高額品や冬物衣料の売上を支えた一方、原材料価格上昇や為替変動および主力商品の販売ピークが後ろ倒しとなったため、粗利益率が1.3ポイント悪化。

    ・通期会社計画は、売上高が前期比5.0%増の1332億円、営業利益が同24.1%減の181億円、年間普通配当が同12円増配の163円。同社は「ゴールドウイン」ブランドをコアブランドと位置付け、2033年に同ブランドの海外売上高を500億円規模に成長させる「Goldwin 500プロジェクト」を2024年4月に発表。2025年1月に浙江省杭州で中国での4店舗目となる直営店をオープンと中国本土に注力。


    名古屋鉄道<9048>

    ・1921年設立。中部地方を地盤とする私鉄大手で、交通(鉄道・バス・タクシー)事業のほか、運送、不動産、レジャー・サービス(ホテル・明治村他)、流通、航空関連サービスなど各事業を営む。

    ・2/13発表の2025/3期9M(4-12月)は、営業収益が前年同期比14.5%増の5077億円、営業利益が同29.1%増の388億円。事業別営業収益は、交通事業が同10%増の1207億円、運送事業が同32%増の1401億円、不動産事業が同12%増の813億円、レジャー・サービス事業が同5%増の813億円。

    ・通期会社計画を上方修正。売上高を前期比15.6%増の6950億円(従来計画6860億円)、営業利益を同26.6%増の440億円(同410億円)、年間配当を同10円増配の37.5円(同30.0円)とした。3/26終値で市場予想PERが10.0倍、PBRが0.75倍のほか、3/21基準の信用倍率も0.16倍と売り長。同社は3/25、「名古屋駅地区再開発計画」について事業化を決定。名鉄名古屋駅再整備とともに推進。


    ※執筆日 2025年3月28日

    フィリップ証券
    フィリップ証券 リサーチ部 笹木和弘
    (公益社団法人 日本証券アナリスト協会検定会員、国際公認投資アナリスト)

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