2024年11月2日 8時00分
【村瀬智一が斬る!深層マーケット】日米ともに決算軸に個別対応
「日米ともに決算軸に個別対応」
●取引時間延長でシステム運用比率、ボラティリティは高まるか
日経平均株価は、不安定な値動きをみせている。10月27日投開票の衆議院選挙で与党が大敗したことで、28日の東京株式市場は下落して始まった。しかし、カラ売りの買い戻しが入ると一気に切り返し、691円高と急反発。米大型テック株の予想を上回る決算も好感されて3日続伸し、30日には3万9417円の高値を付けた。ただし、その後は週末に米雇用統計の発表、翌週に米大統領選挙、米連邦公開市場委員会(FOMC)など重要イベントを控えて、積極的な売買は手控えられた。
国内では企業決算の発表が本格化し、これまでディスコ <6146> [東証P]やニデック <6594> [東証P]、アドバンテスト <6857> [東証P]などのコンセンサスを上回る決算内容がセンチメントを明るくさせていたが、ここにきて予想を下回る決算も目立ってきた。米国でもマイクロソフト<MSFT>が30日に発表した7-9月期決算は市場予想を上回ったが、10-12月期の見通しが市場予想を下回り、31日に同社株は6%安と急落。これが他のハイテク株などへ売りが波及する形となった。週末11月1日の東京市場もハイテク株や主力大型株が売られ、1027円安と窓を空けて75日移動平均線水準まで下げてきた。
連休明け後は、米大統領選挙の結果を受けた米国市場の動向に影響されるほか、FOMCを通過するまでは積極的な売買は手控えられ、決算を手掛かりとした個別物色が日替わり的に展開されそうだ。
なお、11月5日から東京証券取引所の取引時間が延長される。人的負担の軽減を目的に今後、システムによる資産運用の比率が高まってくるだろう。アルゴリズムの発動などによって株価が大きく変動をみせるケースも一段と増えてきそうだ。
●活躍が期待される「注目5銘柄」
◆ソースネクスト <4344> [東証P]
パソコン用ソフトやスマホアプリ、IoT製品などを手掛ける。子会社ポケトークがAI(人工知能)通訳機「POCKETALK(ポケトーク)」の約5年ぶりとなる新機種「ポケトークS2」を10月17日に発売した。新機種ではよりスムーズな会話の実現を目指し、双方向自動翻訳機能を搭載。同社のAI通訳機は国内でインバウンド需要を獲得して販売が伸びているほか、米国でも教育機関や法人向けの販売が拡大している。新機種投入でさらに販売数量の増加が期待される。10月29日には、ポケトークが資本・業務提携する富士ソフト <9749> [東証P]に対して第三者割当増資を実施すると発表。また、3月には2025年中の株式上場を目指す方針も明らかにしている。株価は52週線を支持線としたボトム圏での推移から、ようやく上放れつつある。3月12日の年初来高値308円が意識されてきそうだ。
◆KIMOTO <7908> [東証S]
特殊フィルムメーカー。タッチパネル用ハードコートフィルムで首位。10月29日に発表した25年3月期第2四半期累計(4-9月)の連結営業損益は8億1400万円の黒字(前年同期は1億0900万円の赤字)に転換した。自動車向けに拡散フィルム、通信機器向けに遮光フィルムが好調に推移した。併せて通期の同利益を従来予想の8億円から10億円に上方修正している。株価は決算評価から急伸しているが、ようやく18年3月の急落後の抵抗線水準を捉えてきたところだ。同水準を明確に上放れてくると、18年2月高値の476円が射程に入る。
◆日本特殊陶業 <5334> [東証P]
自動車用点火プラグ、排気系センサーで世界最大手。10月31日に発表した25年3月期第2四半期累計(4-9月)の連結営業利益は前年同期比26.8%増の722億円で着地。自動車関連で補修用製品の販売が好調なうえ、為替が想定より円安で推移したことが寄与した。併せて通期の同利益を従来予想の1150億円から1300億円に上方修正した。同社は非内燃機関事業の比率を高める「事業ポートフォリオ転換」を進めており、7月には陸上養殖事業の新会社「Niterra AQUA(ニテラ アクア)」を設立。日本の漁業・養殖業の生産量は減少傾向が続いており、同事業は海外からの輸入に依存する水産物の安定供給につながる可能性があり、今後の成長が期待される。
◆富士電機 <6504> [東証P]
重電大手。パワエレ機器やパワー半導体などに注力。10月31日に発表した25年3月期第2四半期累計(4-9月)の連結営業利益は前年同期比15.3%増の403億円で着地。通期の同利益を従来予想の1090億円から1115億円に上方修正した。原材料高騰などの影響はあるが、高付加価値製品の投入や販売価格の引き上げ、原価低減などが寄与した。株価は決算を評価した買いが入り、上値抵抗の25日・75日線を上抜いた。一目均衡表(日足)では雲の上限を突破し、9月27日に付けた戻り高値9010円が射程に入ってきた。
◆ネットワンシステムズ <7518> [東証P]
ネットワーク構築大手。シスコ製品など海外製通信機器の導入・支援が主体。10月30日に25年3月期第2四半期累計(4-9月)の連結営業利益を従来予想の58億円から89億円に上方修正した。ICT基盤の高度化需要を捉え、エンタープライズ、パブリック、パートナーの各事業が堅調に推移。下期に想定していた受注残高の消化が先行したことも利益を押し上げた。株価は31日に3737円まで買われ、およそ1カ月半ぶりに年初来高値を更新した。いったんは達成感が強まる可能性はあるものの、20年10月に付けた上場来高値5140円をピークとした調整トレンドラインを突破してきており、上値余地は十分あろう。
(2024年11月1日 記)
株探ニュース
●取引時間延長でシステム運用比率、ボラティリティは高まるか
日経平均株価は、不安定な値動きをみせている。10月27日投開票の衆議院選挙で与党が大敗したことで、28日の東京株式市場は下落して始まった。しかし、カラ売りの買い戻しが入ると一気に切り返し、691円高と急反発。米大型テック株の予想を上回る決算も好感されて3日続伸し、30日には3万9417円の高値を付けた。ただし、その後は週末に米雇用統計の発表、翌週に米大統領選挙、米連邦公開市場委員会(FOMC)など重要イベントを控えて、積極的な売買は手控えられた。
国内では企業決算の発表が本格化し、これまでディスコ <6146> [東証P]やニデック <6594> [東証P]、アドバンテスト <6857> [東証P]などのコンセンサスを上回る決算内容がセンチメントを明るくさせていたが、ここにきて予想を下回る決算も目立ってきた。米国でもマイクロソフト<MSFT>が30日に発表した7-9月期決算は市場予想を上回ったが、10-12月期の見通しが市場予想を下回り、31日に同社株は6%安と急落。これが他のハイテク株などへ売りが波及する形となった。週末11月1日の東京市場もハイテク株や主力大型株が売られ、1027円安と窓を空けて75日移動平均線水準まで下げてきた。
連休明け後は、米大統領選挙の結果を受けた米国市場の動向に影響されるほか、FOMCを通過するまでは積極的な売買は手控えられ、決算を手掛かりとした個別物色が日替わり的に展開されそうだ。
なお、11月5日から東京証券取引所の取引時間が延長される。人的負担の軽減を目的に今後、システムによる資産運用の比率が高まってくるだろう。アルゴリズムの発動などによって株価が大きく変動をみせるケースも一段と増えてきそうだ。
●活躍が期待される「注目5銘柄」
◆ソースネクスト <4344> [東証P]
パソコン用ソフトやスマホアプリ、IoT製品などを手掛ける。子会社ポケトークがAI(人工知能)通訳機「POCKETALK(ポケトーク)」の約5年ぶりとなる新機種「ポケトークS2」を10月17日に発売した。新機種ではよりスムーズな会話の実現を目指し、双方向自動翻訳機能を搭載。同社のAI通訳機は国内でインバウンド需要を獲得して販売が伸びているほか、米国でも教育機関や法人向けの販売が拡大している。新機種投入でさらに販売数量の増加が期待される。10月29日には、ポケトークが資本・業務提携する富士ソフト <9749> [東証P]に対して第三者割当増資を実施すると発表。また、3月には2025年中の株式上場を目指す方針も明らかにしている。株価は52週線を支持線としたボトム圏での推移から、ようやく上放れつつある。3月12日の年初来高値308円が意識されてきそうだ。
◆KIMOTO <7908> [東証S]
特殊フィルムメーカー。タッチパネル用ハードコートフィルムで首位。10月29日に発表した25年3月期第2四半期累計(4-9月)の連結営業損益は8億1400万円の黒字(前年同期は1億0900万円の赤字)に転換した。自動車向けに拡散フィルム、通信機器向けに遮光フィルムが好調に推移した。併せて通期の同利益を従来予想の8億円から10億円に上方修正している。株価は決算評価から急伸しているが、ようやく18年3月の急落後の抵抗線水準を捉えてきたところだ。同水準を明確に上放れてくると、18年2月高値の476円が射程に入る。
◆日本特殊陶業 <5334> [東証P]
自動車用点火プラグ、排気系センサーで世界最大手。10月31日に発表した25年3月期第2四半期累計(4-9月)の連結営業利益は前年同期比26.8%増の722億円で着地。自動車関連で補修用製品の販売が好調なうえ、為替が想定より円安で推移したことが寄与した。併せて通期の同利益を従来予想の1150億円から1300億円に上方修正した。同社は非内燃機関事業の比率を高める「事業ポートフォリオ転換」を進めており、7月には陸上養殖事業の新会社「Niterra AQUA(ニテラ アクア)」を設立。日本の漁業・養殖業の生産量は減少傾向が続いており、同事業は海外からの輸入に依存する水産物の安定供給につながる可能性があり、今後の成長が期待される。
◆富士電機 <6504> [東証P]
重電大手。パワエレ機器やパワー半導体などに注力。10月31日に発表した25年3月期第2四半期累計(4-9月)の連結営業利益は前年同期比15.3%増の403億円で着地。通期の同利益を従来予想の1090億円から1115億円に上方修正した。原材料高騰などの影響はあるが、高付加価値製品の投入や販売価格の引き上げ、原価低減などが寄与した。株価は決算を評価した買いが入り、上値抵抗の25日・75日線を上抜いた。一目均衡表(日足)では雲の上限を突破し、9月27日に付けた戻り高値9010円が射程に入ってきた。
◆ネットワンシステムズ <7518> [東証P]
ネットワーク構築大手。シスコ製品など海外製通信機器の導入・支援が主体。10月30日に25年3月期第2四半期累計(4-9月)の連結営業利益を従来予想の58億円から89億円に上方修正した。ICT基盤の高度化需要を捉え、エンタープライズ、パブリック、パートナーの各事業が堅調に推移。下期に想定していた受注残高の消化が先行したことも利益を押し上げた。株価は31日に3737円まで買われ、およそ1カ月半ぶりに年初来高値を更新した。いったんは達成感が強まる可能性はあるものの、20年10月に付けた上場来高値5140円をピークとした調整トレンドラインを突破してきており、上値余地は十分あろう。
(2024年11月1日 記)
株探ニュース