NYダウ (28日終値)
41,091.42
-159.08
-0.39%
S&P500 (28日終値)
5,592.18
-33.62
-0.60%
ナスダック総合 (28日終値)
17,556.02
-198.79
-1.12%
探検
  • トップ
  •  >  米国株
  •  >  市場ニュース
  •  >  目先は高値更新視野も、10月に向けての季節性に注意【フィリップ証券】
  • 銘柄ニュース
    戻る
    2024年8月29日 17時00分

    目先は高値更新視野も、10月に向けての季節性に注意【フィリップ証券】

     経済シンポジウムのジャクソンホール会議における米FRB(連邦準備制度理事会)議長の講演は、2022年8月のように米国株相場の転機となりやすいイベントとして知られる。ところが、今回はパウエル議長の「金融政策の調整(利下げ)の時が来た」という歯切れのよい発言によって当面、米国株を高みへと押し上げる可能性が高まったように見受けられる。市場は9月のFOMC(連邦公開市場委員会)における0.25%ポイントにとどまらず、8月の雇用統計次第で0.50%ポイントの利下げ確率を38%にまで高めた。

     ダウ工業株30種平均は8/26、7月中旬に付けた取引時間中の史上最高値を更新。S&P500株価指数は同様に7月中旬に付けた史上最高値に迫っている。ニューヨーク証券取引所に上場する全普通株から構成される調整時価総額加重平均指数の「NYSE総合指数」で見ると、8/26高値が7月高値(31日の取引時間)を既に約1.8%上回った。ナスダック総合指数とフィラデルフィア半導体指数は出遅れが目立つなか、8/28の取引時間終了後の半導体大手エヌビディア<NVDA>の決算発表も内容は悪くなかった。出遅れからのキャッチアップへ向かう可能性も視野に入ろう。

     ただ、その後が順風満帆とは限らない。サマーラリー後に10月に向けて波乱となりやすい季節性が米国株の特徴でもある。先ず、米国の財政年度は10月から翌年の9月までであることから予算の追加的な執行が期待しにくくなることを背景に、9月から10月にかけて米国株相場は軟調になりやすい。それに加え、4年毎の大統領選、および2年ずれて中間選挙が11月上旬に行われることに伴う不透明感からその直前の10月は特に弱さが目立つ。

     2年毎に2014年まで遡ってS&P500指数で見ると、2022年は8月中旬から10月中旬にかけて約20%下落。2020年は9月上旬から9月下旬にかけて約11%の下落。2018年は10月上旬から12月下旬にかけて約20%下落。2016年は8月中旬から11月上旬にかけて約5%の下落にとどまったものの、2014年は9月中旬から10月中旬にかけて約10%の下落だった。

     特に2014年は今年と同様に7月下旬から8月上旬にかけて下落していた。その後、8月下旬にかけて7月の高値を超え、更にその後の9月中旬から10月中旬の下落局面で8月上旬に付けた安値を下回るなど、「高値更新かつ安値更新」の「扇形相場」を形成していた。当時の背景には量的緩和(QE)政策終了が10月末に予定され市場が神経質になっていたことがあり現在とは異なるものの、時期的に高値更新後に相場先行きへ強気を加速させることが好ましいことではないという点で共通している可能性もあるだろう。



    参考銘柄


    エレバンス・ヘルス<ELV> 市場:NYSE・・・2024/10/18に2024/12期3Q(7-9月)の決算発表を予定

    ・2022年にアンセムから社名変更。雇用者・個人向け保険、公的医療保険など各市場で医療給付プラン提供。会員数(約4700万人)は米最大級。商業・専門、政府系、薬剤給付管理が主な事業。

    ・7/17発表の2024/12期2Q(4-6月)は、営業収益が前年同期比0.4%減の432.23億USD、非GAAPの調整後EPSが同11.9%増の10.12USD。低所得者向け公的医療保険メディケイド会員数の減少が響き減収も、対給付額の経費率が0.1ポイント改善(86.3%)のほか営業利益率が0.3ポイント改善(6.4%)。

    ・通期会社計画を上方修正。調整後EPSを前期比12%増の37.20USD(従来計画37.10USD)とした。同社は非営利医療保険組織である「ブルークロス・ブルーシールド(青十字・青い盾)協会」の最大ライセンシーとして幅広い米国民層から支持。医療保険制度改革法(オバマケア)は政権動向に左右されやすいなか、同社は大量患者データを基に生成AI(人工知能)活用でユーザーの健康改善に注力方針。


    フレックス<FLEX> 市場:NASDAQ・・・2024/10/25に2025/3期2Q(7-9月)の決算発表を予定

    ・1969年設立のシンガポール企業で、幅広い産業や製品を対象にアジア、南北アメリカ、欧州でテクノロジー、サプライ チェーン、製造ソリューションに関する受託開発製造サービスを提供する。

    ・7/24発表の2025/3期1Q(4-6月)は、売上高が前年同期比8.4%減の63.14億USD(会社予想:56-62億USD)、非GAAPの調整後EPSが同8.5%増の0.51USD(同:0.37-045USD)と会社予想を超過。粗利益率が同0.6ポイント上昇の7.5%へ、営業活動キャッシュフローも3.40億USD(前年同期600万USD)へ改善。

    ・通期会社計画は、売上高が前期比横ばい~4%減の254-264億USD、調整後EPSが同7-16%増の2.30-2.50USDと従来計画を据え置き。足元の減収は傘下企業スピンオフの影響もあり事業再編に伴うポジティブな面もあろう。同社はEMS(電子機器製造受託)で世界5位。供給網で欧米・中国のどちらにも偏らないアセアンの強み、および米利下げ見通しに伴う新興国市場メリット享受も期待される。


    バリック・ゴールド<GOLD> 市場:NYSE・・・2024/10/30に2024/12期3Q(7-9月)の決算発表を予定

    ・1983年設立のカナダの金採掘会社。米国ネバダ州のコルテッツ鉱山とゴールドストライク鉱山、チリのラグナス・ノルテ鉱山、ドミニカ共和国のプエブロ・ビエホ鉱山などを主要鉱山として保有する。

    ・8/12発表の2024/12期2Q(4-6月)は、売上高が前年同期比11.6%増の31.62億USD、非GAAPの調整後EPSが同68.4%増の0.32USD。金の販売量は同4%減も、平均実現販売価格が同19%上昇により増収。利益面で1オンス当たり総費用(AISC)の同11%増(1498USD)を吸収して増益となった。

    ・通期会社計画は、金生産量が前期比▲4~+6%増の390-430万オンス、金生産のAISCが同▲1~+6%の1320-1420USD/オンスと従来計画を据え置き。金価格の平均を1オンス1900USDと実勢価格(1オンス2500USD超)よりも大幅低めの想定。同社の金生産量は2Qが948万オンスと1Qを上回り底入れの兆し。生産増に向けたプロジェクト(ドミニカ共和国やネバダ州)の動向が注目される。


    ホームデポ<HD> 市場:NYSE・・・2024/11/12に2025/1期3Q(8-10月)の決算発表を予定

    ・1978年に設立。住宅改修・建設資材を手掛けるホームセンター大手。世界2319店舗(22年9月末)を展開。実店舗は3万点以上の在庫を保有し、100万点超の商品を揃えたEコマース事業と連携。

    ・8/13発表の2025/1期2Q(5-7月)は、売上高が前年同期比0.6%増の431.75億USD、非GAAPの調整後EPSが同0.2%減の4.67USD。今年6月に買収完了したSRS社が増収寄与も既存店売上高が同3.3%減。金利上昇と消費圧迫の逆境下で取引件数が同2%減、1件当たり平均購買金額が1%減。

    ・通期会社計画を下方修正。既存店売上高を前期比3-4%減(従来計画:1%増)、調整後EPSを同1-3%減(同:1%増)とした。高金利とインフレを背景に消費者が住宅購入や大規模改築工事を控える傾向がある一方、FRBにより9月以降の利下げが行われれば状況が一変し「ペントアップ需要」による上振れも期待されよう。建築資材供給のSRS社買収による高額建築向け市場進出も有望だろう。


    ペロトン・インタラクティブ<PTON> 市場:NASDAQ・・・2024/11/1に2025/6期1Q(7-9月)の決算発表を予定

    ・2012年設立。家庭用フィットネス機器(自転車型トレーニングマシンやウォーキングマシーン)販売のほか、継続課金ベースの受講コンテンツ(トレーニング動画やリアルタイムフィットネス・レッスン)も提供する。

    ・8/22発表の2024/6期4Q(4-6月)は、売上高が前年同期比0.2%増の6.43億USD(22年4Q以来の増収)、非GAAPの調整後EBITDAが前年同期▲3400万USDから7000万USDへ、フリーキャッシュフローが同▲7400万USDから2600万USDへ黒字転換。コスト削減に加え売上面も回復と経営再建に明るい兆し。

    ・2025/6通期会社計画は、売上高が24-25億USD(前期実績27億USD)、調整後EBITDAが2.0-2.5億USD(同:300万USD)。4Qのサブスクリプション収益の売上構成比が前年同期比1.3ポイント上昇の67%と拡大のなか、会員数を追い求めるプロモーション費用は削減。成長よりも利益率重視で方針一貫。マッカーシーCEOが5月に退任発表。15%人員削減含む大規模組織再編からの経営再建が期待される。


    フィリップ証券
    フィリップ証券 リサーチ部 笹木和弘
    (公益社団法人 日本証券アナリスト協会検定会員、国際公認投資アナリスト)

    【免責・注意事項】
    当資料は、情報提供を目的としており、金融商品に係る売買を勧誘するものではありません。フィリップ証券は、レポートを提供している証券会社との契約に基づき対価を得る場合があります。当資料に記載されている内容は投資判断の参考として筆者の見解をお伝えするもので、内容の正確性、完全性を保証するものではありません。投資に関する最終決定は、お客様ご自身の判断でなさるようお願いいたします。また、当資料の一部または全てを利用することにより生じたいかなる損失・損害についても責任を負いません。当資料の一切の権利はフィリップ証券株式会社に帰属しており、無断で複製、転送、転載を禁じます。
    <日本証券業協会自主規制規則「アナリスト・レポートの取扱い等に関する規則 平14.1.25」に基づく告知事項>

    ・ 本レポートの作成者であるアナリストと対象会社との間に重大な利益相反関係はありません。



    フィリップ証券より提供されたレポートを掲載しています。

    株探ニュース