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    2025年12月24日 17時30分

    明日の株式相場に向けて=AI関連に復活の足音、浮上気配の銘柄は

     きょう(24日)の東京株式市場は、日経平均株価が前営業日比68円安の5万0344円と4日ぶりに小反落。クリスマスに絡み海外マネーの参戦が見込みにくく、売買代金がいよいよ細ってきた。きょうは9月2日以来となる4兆円台割れとなった。もっとも、流動性が低下したところを見計らって先物主導で売りを仕掛けるような動きもみられない。日経平均は朝方こそ前日の米株高に追随して買い優勢でスタートしたものの、前場中ごろを境に尻下がりとなり結局前の日の終値を下回って引けたのだが、下落率にして0.1%に過ぎない。何はともあれ現状は5万円台をキープしているわけで、TOPIXについて言えば前日のザラ場に3427まで水準を切り上げ、最高値まであと4ポイントに肉薄する場面があった。AIバブル崩壊の弱気シナリオが喧伝されていた中にあって、むしろ今の相場環境は御の字とみておくところかもしれない。

     きょうは日経平均構成比トップのアドバンテスト<6857>や同4位にランクされている東京エレクトロン<8035>などが頑強な値動きをみせた。 AI半導体関連株に対する悲観論を打ち消すとまではいかないが、例えばこれまでの両銘柄の日足チャートを見る限り、一部ファンド筋に利益確定の動きが出ているとしても、決して資金が逃げているような気配を感じさせない。米国ではAI関連のシンボルストックとして注目されるエヌビディア<NVDA>の株価が前日は3%高に買われ、中期波動の分水嶺として意識された75日移動平均線を大陽線で難なくクリアしている。エヌビディアの二枚腰はショート戦略を打ち出している向きにとっては期待外れともいえ、そうこうするうちに、AI関連相場を擁護するような論調も出てきた。

     株価のメカニズムとして、足もと開示された企業の業績数値については一瞬にして織り込んでしまう。では何を根拠に株価が上下に揺れるのかといえば、それは投資家が抱く期待であり、不安である。実態が把握できていない未来を先取りするという、ある意味「幻想」への評価が株価を突き動かす。AI・バブル論議もそういう要素が強い。データセンターなどのAIインフラ投資が、もし商機とかけ離れた過剰投資であることが確定的であるのなら、株価は既に暴落のプロセスに突入しているはずで、そうでないということは、マーケットはまだ疑心暗鬼の状態で走っていることになる。この疑心暗鬼というのは買う側だけではなく、ショートポジションを積み上げて崩落を待っている側にも当てはまる。

     後期ストア派の哲人エピクテトスは「人を不安にさせるのは物事ではなく、物事についての意見である」と喝破したが、これは株式投資でも言い得て妙だ。直近では、結果的にオラクル<ORCL>やブロードコム<AVGO>がダシに使われた形で、売り方が戦略的にネガティブキャンペーンを張った部分も大きい。今はまだ、AIバブルの答えを出す時間軸にはないはずである。

     前日には政府が初となるAI基本計画を閣議決定したことも、関連株を刺激する新たなトリガーとなる可能性がある。とはいえ、AI関連の象徴であるソフトバンクグループ<9984>のような銘柄は、全体相場の商いが細るなかで1000万株を超える信用買い残がもたらす売り圧力をこなし切るのは容易ではない。ファンダメンタルズ以上に需給に支配される場面は多く、個人投資家としては機動的なスタンスで実態の伴う出遅れ銘柄に照準を合わせておくのが有効といえる。

     目先マークしたい銘柄としては、底値圏から鎌首をもたげた形となっているクロスキャット<2307>。金融向けで実績の高いシステムインテグレーターだが、同社独自のAI利活用支援サービスに評価が高まっている。官公庁案件に強く、低PERかつ高ROE銘柄として株価の見直し余地が大きい。このほか、AIを活用した業務支援ツールを手掛けるユーザーローカル<3984>は業績高成長路線をまい進中で、1900円近辺のもみ合いは買いに分がある。更に科学技術用高性能コンピューターの開発・販売及びソリューションを展開するHPCシステムズ<6597>は、産業用コンピューターでもエッジAI分野で実績を重ねており、フィジカルAI関連の一角としても注目されそうだ。AI関連以外では、金市況と並んで銀や白金、銅市況などが一斉に史上最高値を更新していることで株式市場では関連銘柄に物色の矛先が向いている。アサカ理研<5724>の押し目買いや、MERF<3168>などの株価が緩んだところは妙味がありそうだ。このほか、ペロブスカイト太陽電池関連でケミプロ化成<4960>に動意気配がありマークしておきたい。

     あすのスケジュールでは、週間の対外・対内証券売買契約が朝方取引開始前に発表されるほか、前場取引時間中に2年物国債の入札が行われる。また、後場取引開始時前後に日銀の植田和男総裁が経団連審議員会で講演を行う予定で、その内容が注目される。午後取引時間中に11月の住宅着工統計、11月の外食売上高、11月の全国百貨店売上高などが開示される。また、この日はクリスマスの休日に伴い米国株市場および米債券市場が休場となるが、このほか、韓国、台湾、香港、シンガポールなどアジア地域、ドイツ、フランス、英国など欧州地域の多くの市場が休場となる。(銀)

    出所:MINKABU PRESS