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    2024年11月10日 17時01分

    株価指数先物 【週間展望】 ―トランプ政権の政策を睨んでの相場展開

     今週の日経225先物は、トランプ氏の米大統領選勝利を受け、同氏が公約に掲げた減税や規制緩和、関税強化などを睨みながらの展開となろう。8日の米国市場ではトランプ次期政権の経済対策への期待から買いが継続し、NYダウ S&P500株価指数ナスダックの主要な株価指数が最高値を更新。11月のミシガン大消費者信頼感指数は市場予想を上回り、7カ月ぶりの高水準だった。前日の米連邦公開市場委員会(FOMC)では予想通り0.25%の利下げを決定し、パウエル米連邦準備理事会(FRB)議長が会見で、今後の利下げについて含みを持たせたことも投資家心理を明るくさせていた。

     ただし、半導体SOX指数は下落した。S&P500指数、ナスダック指数は上昇したが、テスラ<TSLA>の影響が大きい。同社は8日に8%を超す上昇となり、時価総額が1兆ドルに乗せていた。イーロン・マスクCEO(最高経営責任者)がトランプ氏勝利の立役者として優遇されるとの思惑が高まっていた。一方で、エヌビディア<NVDA>、アドバンスト・マイクロデバイセズ<AMD>、マイクロン・テクノロジー<MU>など半導体株の一角は売られた。

     トランプ氏は中国製品に最大60%の関税を課すと示唆しており、中国は報復措置を講じる可能性がある。トランプ・ラリーの一方で、同氏の政策についてマイナス面の影響も市場は徐々に織り込むことになりそうだ。

     先週の日経225先物は6日の1040円高で10月31日の戻り高値3万9720円を一気に突破し、7日には一時4万0170円(ナイトセッションを含む)まで買われ、大台の4万円を回復する場面もみられた。これにより、ボリンジャーバンドの+2σ(4万0010円)水準まで上昇したことで過熱感が警戒される一方、10月15日の戻り高値4万0300円が射程に入った。しかし、トランプ次期政権による関税強化を警戒し、指数インパクトの大きい値がさハイテク株の一角が売られており、8日の取引終了後のナイトセッションでは一時3万8960円と節目の3万9000円を割り込む場面もみられた。

     また、国内では11日に特別国会が招集され、石破茂首相が衆院本会議での首相指名選挙で第103代首相に選出される見通しである。首相指名選挙は与党の過半数割れで石破氏と立憲民主党の野田佳彦代表による決選投票となる可能性が高い。波乱はないとみられるものの、週初は様子見ムードが高まりやすい。

     日経225先物はナイトセッションでの調整で25日移動平均線(3万8980円)水準まで下げており、同線が支持線として機能するかが注目される。同線を明確に割り込んでくると、前週の上昇分を埋めてくる展開が警戒されやすく、ショートを誘う流れになりそうだ。また、支持線として機能したとしても、11月のSQ値が3万9901.35円であり、日経平均株価がこれを捉えることができないと、節目の4万円に接近する局面では戻り待ち狙いのショートが入りやすいだろう。

     そのため、オプション権利行使価格の3万8000円から4万円と広めのレンジを想定しておきたい。25日線を下回る局面では、200日線が位置する3万7770円処が意識されてくる可能性はある。一方で、SQ値をクリアしてくると10月高値の4万0300円が改めてターゲットになりそうだ。

     また、トランプ政権による中国への関税強化が警戒されるなか、いったんは中国の景気対策を手掛かりに日本から中国へシフトした資金が、再び日本に環流してくる可能性もあるだろう。そのため、下値の堅さは意識されやすく、25日線を下回ったとしても、ボリンジャーバンドの-1σが位置する3万8460円辺りでの押し目狙いに向かわせそうである。

     そのほか、ピークを迎えている決算発表については、今週も1400社超が予定されているが、14日でピークは通過する。これまで米大統領選とFOMCの2大イベントを控えていたこともあり、先回り的な動きは限られていた。先週末は日産自動車 <7201> [東証P]が大幅な下方修正が嫌気されたが、売り一巡後は下落幅を縮めていた。決算発表がピークを通過し、機関投資家が動きやすくなるため、押し目狙いのロングの動きもみられそうだ。

     8日の米VIX指数は14.94(前日は15.20)に低下した。先週は5日に22.00水準から一気に25日線(5日:20.16)近辺まで低下し、6日には一気に同線を割り込み、200日線(6日:15.79)を下回る場面もみられた。不安心理が高まった状態を示す20.00を明確に下回ったことでリスク選好の流れが強まった。8日は一時14.66まで下げており、8月19日に付けた14.46に接近している。同水準を下回ってくると、一段とリスク選好が強まりやすい。一方で200日線を上回ってくると、トランプ・ラリーの一巡が意識されてくるとみておきたい。

     先週のNT倍率は先物中心限月で14.38倍に上昇した。前週末の14.41倍から6日には14.59倍に上昇する場面もみられ、抵抗線として意識されていた25日線(6日:14.47倍)を突破した。ただし、トランプ関税への警戒から半導体株の一角が売られるなか、7日には14.30倍まで大きく下げており、200日線(7日:14.28倍)、75日線(同:14.26倍)に接近する場面もあった。ハイテク株睨みとなるなか、200日線辺りまでの低下もありそうだ。

     10月第5週(10月28日-11月1日)の投資部門別売買動向によると、海外投資家は現物と先物の合算では2週ぶりの売り越しであり、売り越し額は3372億円(10月第4週は1293億円の買い越し)だった。なお、現物は1885億円の売り越し(同206億円の売り越し)と3週連続の売り越しであり、先物は1487億円の売り越し(同1500億円の買い越し)と2週ぶりの売り越し。個人は現物と先物の合算で329億円の買い越しで2週ぶりの買い越し。信託銀行は現物と先物の合算で1495億円の買い越しとなり、5週ぶりの買い越しだった。

     主要スケジュールでは、11月11日に日銀金融政策決定会合の主な意見(10月30~31日分)、10月景気ウォッチャー調査、首相指名選挙、中国「独身の日」、国連気候変動枠組み条約第29回締約国会議(COP29、~22日)、13日に10月国内企業物価、エヌビディアAIサミットジャパン、米国10月消費者物価指数、14日に米国10月生産者物価指数、パウエルFRB議長がダラス連銀主催のイベントで討議に参加、15日に7-9月期GDP、APEC首脳会議(~16日)、中国1-10月固定資産投資、中国10月鉱工業生産指数、中国10月小売売上高、米国10月小売売上高、米国10月鉱工業生産指数などが予定されている。

    ――プレイバック・マーケット――

    ●SQ値
    12月限 日経225 32639.57  TOPIX  2343.77
    01月限 日経225 36025.97  TOPIX  2513.46
    02月限 日経225 37018.07  TOPIX  2563.93
    03月限 日経225 39863.92  TOPIX  2716.15
    04月限 日経225 39820.59  TOPIX  2766.89
    05月限 日経225 38509.47  TOPIX  2728.75
    06月限 日経225 38535.35  TOPIX  2714.56
    07月限 日経225 41531.26  TOPIX  2893.54
    08月限 日経225 35661.68  TOPIX  2510.68
    09月限 日経225 36906.92  TOPIX  2585.41
    10月限 日経225 39701.93  TOPIX  2721.72
    11月限 日経225 39901.35  TOPIX  2765.26

    ◆日経225先物(日足)
             始値   高値   安値   清算値  前日比
    24/12 11月08日  39170  39940  39160  39500  +260
    24/12 11月07日  39790  40170  39030  39240  -460
    24/12 11月06日  38640  39850  38540  39700  +1040
    24/12 11月05日  38060  38790  38010  38660  +540

    ◇TOPIX先物(日足)
             始値   高値   安値   清算値  前日比
    24/12 11月08日  2733.0  2774.5  2733.0  2745.0  +8.0
    24/12 11月07日  2734.0  2767.0  2717.0  2737.0  +11.0
    24/12 11月06日  2671.5  2748.5  2667.5  2726.0  +52.5
    24/12 11月05日  2642.0  2690.5  2639.0  2673.5  +28.5

    ●シカゴ日経平均 円建て
              清算値  前日大阪比
    11月08日(12月限) 39135  -365
    11月07日(12月限) 39690  +450
    11月06日(12月限) 40035  +335
    11月05日(12月限) 38970  +310
    11月04日(12月限) 38375  +255
    ※前日比は大阪取引
    所終値比

    □裁定取引に係る現物ポジション裁定残(金額)
            売り   前週末比   買い    前週末比
    11月01日    2207億円  +518億円 1兆1951億円  -812億円
    10月25日    1688億円  -85億円 1兆2764億円  -6063億円
    10月18日    1774億円  +71億円 1兆8828億円  -1484億円
    10月11日    1702億円  +378億円 2兆0312億円  +1765億円
    10月04日    1323億円  -263億円 1兆8546億円  -1335億円

    □裁定取引に係る現物ポジション(株数)
            売り      前日比  買い       前日比
    11月06日    5922万株    -99万株  5億4302万株   -351万株
    11月05日    6022万株   -438万株  5億4654万株   +2121万株
    11月01日    6461万株   +1187万株  5億2532万株   -6274万株
    10月31日    5273万株    -58万株  5億8806万株   +628万株
    10月30日    5332万株   -1036万株  5億8178万株   +15万株
    10月29日    6368万株   +341万株  5億8163万株   -620万株
    10月28日    6026万株   +545万株  5億8783万株   +1836万株
    10月25日    5481万株   -101万株  5億6947万株   -5957万株
    10月24日    5582万株      0株  6億2904万株   -1億3454万株
    10月23日    5582万株    +2万株  7億6358万株   -5106万株
    10月22日    5580万株      0株  8億1465万株   -272万株
    10月21日    5580万株      0株  8億1738万株   -788万株
    10月18日    5580万株      0株  8億2526万株   -518万株
    10月17日    5580万株      0株  8億3044万株   -5894万株
    10月16日    5580万株    -38万株  8億8939万株   -485万株
    10月15日    5619万株   +290万株  8億9424万株   +652万株

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