2025年6月27日 14時33分
顕在化したリスクと潜在的リスク~月替わりとバランスの変化【フィリップ証券】
米国が6/21、イランの核施設への攻撃に踏み切った。イランは「重大な国際法違反だ」と反発し、世界の石油供給の約2割が通過するホルムズ海峡の封鎖まで踏み切るのではないかとの懸念が深まった。バンス米副大統領が6/22、米軍によるイランの核施設攻撃を巡り「核開発計画を根絶することに焦点を当てた」と述べて限定的な攻撃であることを強調したこともあり、情勢が一段と悪化するとの過度な懸念は薄らいだ。
イランによるホルムズ海峡封鎖は、国家安全保障最高評議会の決定が最終的に必要な中、議会の承認を得ていた。一方で、米軍によるイラン核施設への攻撃は、民主党だけでなく共和党の有力議員からも、議会による宣戦布告なしに行った憲法違反の疑いがあるとのとの見方が出ていた。ホルムズ海峡の閉鎖に至るまで事態がエスカレートしない限り、米国のイランへの攻撃は限定的とならざるを得ないものだっただろう。
米国株市場は、中東情勢の地政学リスクの他にも、2つの潜在的リスクを抱えている。
第1に、相互関税の猶予期限を7/9に控えた「トランプ関税」の動向だ。米商務省は今後数週間以内に、半導体や医薬品、重要鉱物など、国家安全保障上の観点から重要と見なされる分野に関する調査結果を公表する見通しだ。調査結果を踏まえ、当該分野の輸入品に関税が課される可能性がある。米国際貿易裁判所がトランプ大統領の世界的な相互関税を巡り、国際緊急経済権限法(IEEEPA)に基づく追加関税の適用を違法と判断した。トランプ大統領は、通商拡大法第232条で大統領に与えられた権限として国・地域別の措置よりも、特定の産業・製品をベースとするアプローチにシフトしてくると考えられるだろう。
第2に、連邦議会上院で審議中の「税制・歳出法案」が成立した場合の米国債市場の動向だ。共和党は7/4の独立記念日までの可決を目標としている。法案成立には連邦債務上限の引き上げが前提となり、米議会予算局(CBO)は今後10年間に連邦政府の財政赤字を2.8兆ドル押し上げると予測している。クレジット・デフォルト・スワップ(CDS)市場を見ると、5年物国債について発行体の信用リスクを表す「CDSスプレッド」(6/20時点)は、米国債が4月第1週以来の水準となる46ポイント台まで低下した。債務上限の引き上げによってCDSスプレッドが上昇すれば、「米国債売り・米ドル売り」が再燃するリスクがある。
投資の本質がリスクとリターンのバランスの変化にあるとすれば、6月から7月へと月が替わることにより、バランスの均衡を失してリスクのウェイトがより高まるおそれがある。12月決算企業にとっては中間期末であり、ヘッジファンドをはじめ機関投資家も上半期のパフォーマンス評価を踏まえて下半期以降、投資戦略を見直す機会と捉えられやすい点も要注意だろう。
■オラクルはスターゲート計画で躍進~クラウド基盤加速でアプリケーションと相乗効果
データベース(DB)大手の米オラクル<ORCL>が企業のAI(人工知能)活用に伴うクラウドコンピューティングサービスの需要増を受けて好調だ。ITシステムにおけるDBの重要性およびDB分野でのオラクルへの信頼感から、DBサーバーを備えた同社のクラウド基盤を使って統合基幹業務システム(ERP)等のソフトウェアを提供する動きが拡大。アプリケーション(ソフトウェア)と基盤(インフラ)に関するクラウドサービスの売上比率は四半期ごとに上昇傾向にあり、利益率を高める原動力となっている。
ラリー・エリソン会長兼CTOによれば、マルチ・クラウドのデータセンターは現在23ヵ所の稼働に対し、今後1年間で47ヵ所の構築を計画。同社はトランプ政権による4年間で5000億USDの巨額投資プロジェクト「スターゲート計画」に参画している。
参考銘柄
グローバルXロボット&AI ETF<BOTZ> 市場:NASDAQ・・・分配金:年2回(権利落ち月:6・12月)
・「Indexグローバル・ロボティクス・AI・セマティック指数」に連動する投資成果を目指し、産業用ロボット・自動化、自動運転含め、ロボットや人工知能(AI)活用の恩恵を受ける企業への投資を目指す。
・6/20終値で時価総額が25.3億USD、過去12ヵ月間の実績分配金利回りが0.14%。組入れ上位順9社は、エヌビディア<NVDA>、ABB(スイス)、インテュイティブサージカル<ISRG>、キーエンス(日本)、ファナック(日本)、ダイナトレース<DT>、SMC(日本)、ダイフク(日本)、ペガシステムズ<PEGA>。
・昨年末終値から6/20終値までの騰落率(分配金を除く)は、同ETFが▲4.7%に対し、ダウ工業株30種平均株価が▲0.8%、S&P500株価指数が+1.5%、ナスダック100が+2.9%。エヌビディアは開発者会議「GTC2025(3/17-21)においてヒト型ロボット開発を加速するための技術ポートフォリオを発表。6/20、同社はAI(人工知能)サーバーの生産にヒト型ロボットの導入を検討中と報道された。
キャリア・グローバル<CARR> 市場:NYSE・・・2025/7/25に2025/12期2Q(4-6月)の決算発表を予定
・2019年に重電大手ユナイテッド・テクノロジーズから分離独立した空調設備メーカー。冷凍設備の製造・販売と火災・セキュリティのソリューションの2事業について2024年末までに分離独立を完了。
・5/1発表の2025/12期1Q(1-3月)は、売上高が前年同期比3.7%減の52.18億USD、既存事業(前四半期に冷凍設備事業を売却した影響を除く)では同2%増収。継続事業に関する非GAAPの調整後EPSが同27.5%増の0.65USD。生産性向上と販売価格引上げを受けて調整後営業利益率が改善。
・通期会社計画を上方修正。売上高を前期比2.3%増の230億USD(従来計画225-230億USD)、調整後EPSを同17-21%増の3.0-3.1USD(同2.95-3.05USD)とした。データセンター冷却事業および独ヒートポンプ部門が堅調に推移する見通し。資源価格上昇に伴い、欧州の暖房市場で燃料代を抑えようとする消費者が増加している。減退傾向だったヒートポンプ暖房需要に回復の兆しが見られる。
シーボー・グローバル・マーケッツ<CBOE> 市場:CBOE・・・2025/8/1に2025/12期2Q(4-6月)の決算発表を予定
・1973年設立。S&P500オプションやVIX指数などを取り扱うシカゴオプション取引所、米国株式取引所で3位のBats Global Markets、欧州証券取引所大手のCboe Europeなどを傘下に擁する。
・5/2発表の2025/12期1Q(1-3月)は、純収益が前年同期比12.6%増の5.65億USD、非GAAPの調整後EPSが同16.3%増の2.50USD。事業別では、売上比率62%のオプションが15%、北米株式が2%、欧州・アジア太平洋が18%、先物が8%、グローバルFXが16%と、全事業セグメントが増収となった。
・2025/12通期会社計画は、M&Aなどの影響を除く既存事業ベースでの純収益の対前期比増収率を従来計画の「1桁台半ば」から「1桁台半ば~後半」へ上方修正。調整後営業費用は同5-7%増の8.37-8.52億USDと従来計画を据え置いた。株価指数や個別株のオプション関連で強いブランド力を誇る中、トランプ政権の政策の下で価格変動の拡大に対するヘッジ取引需要の増加が見込まれる。
ヴァンエック金鉱株ETF<GDX> 市場:NYSEAtca・・・分配金:年1回(12月)
・NYSE Arca Gold Miners指数に連動する投資成果を目指す。同指数は世界の全サイズの素材株に投資。北米、特にカナダ国内の企業に最大の比重。時価総額加重平均を用いてウェイトを算定。
・6/20終値時価総額が159.1億USD、過去12ヵ月間の実績分配金利回りが0.77%。組入れ上位6社はニューモント<NEM>、アグニコ・イーグル・マインズ<AEM>、ウィートン・プレシャス・メタル<WPM>、バリック・マイニング<B>、フランコ・ネバダ<FNV>、アングロゴールド・アシャンティ<AU>。
・昨年末終値から6/20終値までの騰落率(除くインカムゲイン)は、同ETFが+54.2%に対し、CMX金先物(中心限月)は+27.7%、S&P500株価指数が+1.5%。トランプ米政権の下、関税政策や中東情勢への米軍の介入など、先行き見通しの不透明感が高まる中でリスク回避の金買い需要が高まりやすい状況。採掘コスト高騰が鈍化する中、金鉱会社の利益率は改善しやすい局面にある。
マーベル・テクノロジー<MRVL> 市場:NASDAQ・・・2025/8/29に2026/1期2Q(5-7月)の決算発表を予定
・1995年設立の半導体製造企業。通信ネットワーク向けIC(集積回路)およびHDD用ストレージ装置向けアプリケーションを扱う。2021年に同業インファイおよびデータセンター関連イノビウムを買収。
・5/29発表の2026/1期1Q(2-4月)は、売上高が前年同期比63.3%増の18.95億USD(会社予想17.8-19.7億USD)、非GAAPの調整後EPSが同158%増の0.62USD(同0.56-0.66USD)。AI(人工知能)需要がデータセンター向け売上高を牽引。カスタムシリコンと光電変換関連製品の出荷が拡大した。
・2026/1期2Q(5-7月)会社計画は、売上高が前年同期比49-65%増の19-21億USD、調整後EPSが同107-140%増の0.62-0.72USD。1Qの最終市場別売上高は、データセンター(売上比率76%)が前年同期比76%増収のほか、通信キャリア向けインフラ(同7%)が93%増収と急拡大。AIデータセンターネットワーキングおよびカスタムASIC(特定用途向け集積回路)の分野で主導的役割が期待される。
テスラ<TSLA> 市場:NASDAQ・・・2025/7/23に2025/12期2Q(4-6月)の決算発表を予定
・2003年設立。電気自動車(EV)の設計・製造・販売、EV用パワートレイン部品の他の自動車メーカーへの販売、および充電式リチウムイオン電池システムなどのエネルギー貯蔵製品の販売を営む。
・4/22発表の2025/12期1Q(1-3月)は、売上高が前年同期比9.3%減の193.35億USD、非GAAPの調整後EPSが同40.0%減の0.27USD。世界販売台数減少を受けて自動車収入(売上比率72%)が20%減も、エネルギー生成・貯蔵収入(同14%)が67%増、サービスその他収入(同14%)が15%増。
・1Qの世界販売台数減少(前年同期比13%減、前四半期比32%減)はマスクCEOの政治的発言が販売減少の主因とみられる。同社は6/22、テキサス州オースティン市で自動運転タクシー(ロボタクシー)のサービスを開始。米運輸省道路交通安全局(NHTSA)は6/13、ハンドルやブレーキペダルなど操作装置について、搭載義務の適用除外手続きを簡素化する規制緩和方針を明らかにした。
執筆日:2025年6月16日
※フィリップ証券より提供されたレポートを掲載しています。
株探ニュース
イランによるホルムズ海峡封鎖は、国家安全保障最高評議会の決定が最終的に必要な中、議会の承認を得ていた。一方で、米軍によるイラン核施設への攻撃は、民主党だけでなく共和党の有力議員からも、議会による宣戦布告なしに行った憲法違反の疑いがあるとのとの見方が出ていた。ホルムズ海峡の閉鎖に至るまで事態がエスカレートしない限り、米国のイランへの攻撃は限定的とならざるを得ないものだっただろう。
米国株市場は、中東情勢の地政学リスクの他にも、2つの潜在的リスクを抱えている。
第1に、相互関税の猶予期限を7/9に控えた「トランプ関税」の動向だ。米商務省は今後数週間以内に、半導体や医薬品、重要鉱物など、国家安全保障上の観点から重要と見なされる分野に関する調査結果を公表する見通しだ。調査結果を踏まえ、当該分野の輸入品に関税が課される可能性がある。米国際貿易裁判所がトランプ大統領の世界的な相互関税を巡り、国際緊急経済権限法(IEEEPA)に基づく追加関税の適用を違法と判断した。トランプ大統領は、通商拡大法第232条で大統領に与えられた権限として国・地域別の措置よりも、特定の産業・製品をベースとするアプローチにシフトしてくると考えられるだろう。
第2に、連邦議会上院で審議中の「税制・歳出法案」が成立した場合の米国債市場の動向だ。共和党は7/4の独立記念日までの可決を目標としている。法案成立には連邦債務上限の引き上げが前提となり、米議会予算局(CBO)は今後10年間に連邦政府の財政赤字を2.8兆ドル押し上げると予測している。クレジット・デフォルト・スワップ(CDS)市場を見ると、5年物国債について発行体の信用リスクを表す「CDSスプレッド」(6/20時点)は、米国債が4月第1週以来の水準となる46ポイント台まで低下した。債務上限の引き上げによってCDSスプレッドが上昇すれば、「米国債売り・米ドル売り」が再燃するリスクがある。
投資の本質がリスクとリターンのバランスの変化にあるとすれば、6月から7月へと月が替わることにより、バランスの均衡を失してリスクのウェイトがより高まるおそれがある。12月決算企業にとっては中間期末であり、ヘッジファンドをはじめ機関投資家も上半期のパフォーマンス評価を踏まえて下半期以降、投資戦略を見直す機会と捉えられやすい点も要注意だろう。
■オラクルはスターゲート計画で躍進~クラウド基盤加速でアプリケーションと相乗効果
データベース(DB)大手の米オラクル<ORCL>が企業のAI(人工知能)活用に伴うクラウドコンピューティングサービスの需要増を受けて好調だ。ITシステムにおけるDBの重要性およびDB分野でのオラクルへの信頼感から、DBサーバーを備えた同社のクラウド基盤を使って統合基幹業務システム(ERP)等のソフトウェアを提供する動きが拡大。アプリケーション(ソフトウェア)と基盤(インフラ)に関するクラウドサービスの売上比率は四半期ごとに上昇傾向にあり、利益率を高める原動力となっている。
ラリー・エリソン会長兼CTOによれば、マルチ・クラウドのデータセンターは現在23ヵ所の稼働に対し、今後1年間で47ヵ所の構築を計画。同社はトランプ政権による4年間で5000億USDの巨額投資プロジェクト「スターゲート計画」に参画している。

参考銘柄
グローバルXロボット&AI ETF<BOTZ> 市場:NASDAQ・・・分配金:年2回(権利落ち月:6・12月)
・「Indexグローバル・ロボティクス・AI・セマティック指数」に連動する投資成果を目指し、産業用ロボット・自動化、自動運転含め、ロボットや人工知能(AI)活用の恩恵を受ける企業への投資を目指す。
・6/20終値で時価総額が25.3億USD、過去12ヵ月間の実績分配金利回りが0.14%。組入れ上位順9社は、エヌビディア<NVDA>、ABB(スイス)、インテュイティブサージカル<ISRG>、キーエンス(日本)、ファナック(日本)、ダイナトレース<DT>、SMC(日本)、ダイフク(日本)、ペガシステムズ<PEGA>。
・昨年末終値から6/20終値までの騰落率(分配金を除く)は、同ETFが▲4.7%に対し、ダウ工業株30種平均株価が▲0.8%、S&P500株価指数が+1.5%、ナスダック100が+2.9%。エヌビディアは開発者会議「GTC2025(3/17-21)においてヒト型ロボット開発を加速するための技術ポートフォリオを発表。6/20、同社はAI(人工知能)サーバーの生産にヒト型ロボットの導入を検討中と報道された。
キャリア・グローバル<CARR> 市場:NYSE・・・2025/7/25に2025/12期2Q(4-6月)の決算発表を予定
・2019年に重電大手ユナイテッド・テクノロジーズから分離独立した空調設備メーカー。冷凍設備の製造・販売と火災・セキュリティのソリューションの2事業について2024年末までに分離独立を完了。
・5/1発表の2025/12期1Q(1-3月)は、売上高が前年同期比3.7%減の52.18億USD、既存事業(前四半期に冷凍設備事業を売却した影響を除く)では同2%増収。継続事業に関する非GAAPの調整後EPSが同27.5%増の0.65USD。生産性向上と販売価格引上げを受けて調整後営業利益率が改善。
・通期会社計画を上方修正。売上高を前期比2.3%増の230億USD(従来計画225-230億USD)、調整後EPSを同17-21%増の3.0-3.1USD(同2.95-3.05USD)とした。データセンター冷却事業および独ヒートポンプ部門が堅調に推移する見通し。資源価格上昇に伴い、欧州の暖房市場で燃料代を抑えようとする消費者が増加している。減退傾向だったヒートポンプ暖房需要に回復の兆しが見られる。
シーボー・グローバル・マーケッツ<CBOE> 市場:CBOE・・・2025/8/1に2025/12期2Q(4-6月)の決算発表を予定
・1973年設立。S&P500オプションやVIX指数などを取り扱うシカゴオプション取引所
・5/2発表の2025/12期1Q(1-3月)は、純収益が前年同期比12.6%増の5.65億USD、非GAAPの調整後EPSが同16.3%増の2.50USD。事業別では、売上比率62%のオプションが15%、北米株式が2%、欧州・アジア太平洋が18%、先物が8%、グローバルFXが16%と、全事業セグメントが増収となった。
・2025/12通期会社計画は、M&Aなどの影響を除く既存事業ベースでの純収益の対前期比増収率を従来計画の「1桁台半ば」から「1桁台半ば~後半」へ上方修正。調整後営業費用は同5-7%増の8.37-8.52億USDと従来計画を据え置いた。株価指数や個別株のオプション関連で強いブランド力を誇る中、トランプ政権の政策の下で価格変動の拡大に対するヘッジ取引需要の増加が見込まれる。
ヴァンエック金鉱株ETF<GDX> 市場:NYSEAtca・・・分配金:年1回(12月)
・NYSE Arca Gold Miners指数に連動する投資成果を目指す。同指数は世界の全サイズの素材株に投資。北米、特にカナダ国内の企業に最大の比重。時価総額加重平均を用いてウェイトを算定。
・6/20終値時価総額が159.1億USD、過去12ヵ月間の実績分配金利回りが0.77%。組入れ上位6社はニューモント<NEM>、アグニコ・イーグル・マインズ<AEM>、ウィートン・プレシャス・メタル<WPM>、バリック・マイニング<B>、フランコ・ネバダ<FNV>、アングロゴールド・アシャンティ<AU>。
・昨年末終値から6/20終値までの騰落率(除くインカムゲイン)は、同ETFが+54.2%に対し、CMX金先物(中心限月)は+27.7%、S&P500株価指数が+1.5%。トランプ米政権の下、関税政策や中東情勢への米軍の介入など、先行き見通しの不透明感が高まる中でリスク回避の金買い需要が高まりやすい状況。採掘コスト高騰が鈍化する中、金鉱会社の利益率は改善しやすい局面にある。
マーベル・テクノロジー<MRVL> 市場:NASDAQ・・・2025/8/29に2026/1期2Q(5-7月)の決算発表を予定
・1995年設立の半導体製造企業。通信ネットワーク向けIC(集積回路)およびHDD用ストレージ装置向けアプリケーションを扱う。2021年に同業インファイおよびデータセンター関連イノビウムを買収。
・5/29発表の2026/1期1Q(2-4月)は、売上高が前年同期比63.3%増の18.95億USD(会社予想17.8-19.7億USD)、非GAAPの調整後EPSが同158%増の0.62USD(同0.56-0.66USD)。AI(人工知能)需要がデータセンター向け売上高を牽引。カスタムシリコンと光電変換関連製品の出荷が拡大した。
・2026/1期2Q(5-7月)会社計画は、売上高が前年同期比49-65%増の19-21億USD、調整後EPSが同107-140%増の0.62-0.72USD。1Qの最終市場別売上高は、データセンター(売上比率76%)が前年同期比76%増収のほか、通信キャリア向けインフラ(同7%)が93%増収と急拡大。AIデータセンターネットワーキングおよびカスタムASIC(特定用途向け集積回路)の分野で主導的役割が期待される。
テスラ<TSLA> 市場:NASDAQ・・・2025/7/23に2025/12期2Q(4-6月)の決算発表を予定
・2003年設立。電気自動車(EV)の設計・製造・販売、EV用パワートレイン部品の他の自動車メーカーへの販売、および充電式リチウムイオン電池システムなどのエネルギー貯蔵製品の販売を営む。
・4/22発表の2025/12期1Q(1-3月)は、売上高が前年同期比9.3%減の193.35億USD、非GAAPの調整後EPSが同40.0%減の0.27USD。世界販売台数減少を受けて自動車収入(売上比率72%)が20%減も、エネルギー生成・貯蔵収入(同14%)が67%増、サービスその他収入(同14%)が15%増。
・1Qの世界販売台数減少(前年同期比13%減、前四半期比32%減)はマスクCEOの政治的発言が販売減少の主因とみられる。同社は6/22、テキサス州オースティン市で自動運転タクシー(ロボタクシー)のサービスを開始。米運輸省道路交通安全局(NHTSA)は6/13、ハンドルやブレーキペダルなど操作装置について、搭載義務の適用除外手続きを簡素化する規制緩和方針を明らかにした。
執筆日:2025年6月16日
【免責・注意事項】
当資料は、情報提供を目的としており、金融商品に係る売買を勧誘するものではありません。フィリップ証券は、レポートを提供している証券会社との契約に基づき対価を得る場合があります。当資料に記載されている内容は投資判断の参考として筆者の見解をお伝えするもので、内容の正確性、完全性を保証するものではありません。投資に関する最終決定は、お客様ご自身の判断でなさるようお願いいたします。また、当資料の一部または全てを利用することにより生じたいかなる損失・損害についても責任を負いません。当資料の一切の権利はフィリップ証券株式会社に帰属しており、無断で複製、転送、転載を禁じます。
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