米国と欧州の投資銀行が大型レバレッジドバイアウト（ＬＢＯ）に絡んで総額数十億ドルの損失に見舞われそうだと伝わっている。ブルームバーグが関係者の話として伝えた。市況悪化で価値が大幅下落している高リスクの企業債務の処分に苦戦しているという。

　最大の打撃はシトリックス・システムズ<CTXS>の非公開化に伴うもので、損失は１０億ドル前後に上る可能性がある。この案件はバンカメ<BAC>やゴールドマン<GS>、クレディ・スイスなどの金融機関が１月にまとめたもので、これらの主要３行はいずれも、１億ドルを超える損失に直面する可能性があるという。

　ＦＲＢが数十年ぶりのハイペースで利上げを進める中、信用リスク・プレミアムは、銀行が低金利の全盛期に投資会社と交渉した水準を遥かに超えて上昇している。

　欧米の引受業者は現在、ＬＢＯファイナンスで推定８００億ドル相当のローンや社債を帳簿に抱えている。ジャンク債市場が事実上、凍結状態にあるため、売却が難しい。２００８年の金融危機前に２０００億ドルを超えていたのに比べれば、いまは控えめな水準だが、金利上昇で償却が増え、利益の足かせになるとの懸念が浮上している。ただ、ＦＲＢを始め、誰も救済するつもりがないことが今回は違う点だという。

（NY時間10:35）
バンカメ<BAC>　32.18（+0.10　+0.31%）
ゴールドマン<GS>　297.90（+11.73　+4.10%）
シトリックス<CTXS>　97.73（-0.70　-0.71%）

MINKABU PRESS編集部　野沢卓美